またひとつ課題を達成したイーグルス
2013年 9月 7日(土)
ラグビートップリーグの、先期(2012-2013)の星取表を改めて眺めると、キヤノンイーグルスの成績は3勝10敗で11位。1位から10位のチームに負けて、12位から14位のチームに勝っており、星取表では対角線の左が●、右が○ときれいに分かれている。
(トップリーグのサイトより)
※誤って過去のものを貼りつけていたのを修正しました。
実力と試合結果の相関が強い(要するに番狂わせの少ない)と思われるラグビーでは、まあ普通の形であると言えるのだが、それでもいくつかの「乱れ」がある。特に、10位リコーブラックラムズは2位東芝ブレイブルーパスに、9位NTTコミュニケーションズシャイニングアークスは3位パナソニック ワイルドナイツに勝っている。このあたりが、リーグの中で下位集団を抜け出すための、ひとつの登竜門なのかもしれない。
今期のトップリーグは2ステージ制になったため、イーグルスが昨期成績での上位(1~4位)と対戦する機会は、まずは2度しかない。そのひとつであるブレイブルーパスには第1節で惜敗してしまったため、残る機会は第2節のワイルドナイツ戦のみ。もちろん、2ndステージでグループAに入れば機会はあるのだが、そのためにもワイルドナイツ戦は大きな意味を持つ試合であると言える。

そんなことを考えながらたどりついた秩父宮ラグビー場は、不穏な雲に覆われていた。降水確率は30%と高くはないものの、2試合観戦している間には一度は雨が降りそうな雰囲気。端の方にはなるが、屋根のあるメインスタンドに座るか…と逡巡しながら、降水確率を信じてバックスタンドに席を取る。雨の不安はあるものの、先週のような暑さはなく、風が心地よい。

第1試合は、イーグルスと同じプールBのクボタスピアーズ対近鉄ライナーズ。ライナーズとは第4節9月28日に山口で、スピアーズとは第5節10月 6日に盛岡で対戦する相手である。
第1節ではワイルドナイツに0対46と大敗したライナーズは、ここの突破力はあるものの横のつながりがうまくいっていない印象。後半13分にようやく今期初トライとなったものの、この1トライのみで、あとはPG4本の17点。同じくPG4本で、トライ2つのスピアーズに17対22で敗れた。

ところでライナーズの水色。近鉄電車にはない色だと思うのですが、どういう意味があるんでしょうか?

スピアーズのマスコット「スッピー」。今期から、出場選手数が22人から23人になったのに伴い、背番号も24に変わっていました。スピアーズは、テントの横でチームの応援歌らしきものを流したり、力が入っています。

ハーフタイムは、横浜市青葉区のキッズチア「エンジェルズアンドデビルズ」。試合中は、スピアーズに声援を送っていました。

そして、19時から第2試合のイーグルス対ワイルドナイツ。
イーグルス先発は、フォワードが1.菅原 崇聖、2.山本 貢、3.城 彰、4.日高 駿、5.ジャスティン アイブス、6.湯澤 奨平、7.清水 直志、8.マウ ジョシュアと、前回と変わらず。
バックスが9.福居 武、10.アイザイア・トエアバ、11.ハビリ ロッキー、12.三友 良平、13.ティム・ベネット、14.和田 拓、15.橋野 皓介。スタンドオフに、カラム=ブルースに替わり、アイザイア=トエアバが入った。トエアバのスタンドオフは、少なくとも先発としては初めてで、楽しみ。
控えは16.金子 大介、17.宍戸 要介、18.上田 聖、19.鷹クロフォード アストン、20.アダム・トムソン、21.髙城 良太、22.田井中 啓彰、23.原田 季郎。田井中は今期初メンバー。前節は出番のなかった新人原田だが、今回はどうか。
先期のワイルドナイツとの対戦は、最終戦だった1月 6日なので、ほぼ8か月前。その時は、前半は1点差だったものの、後半6トライを喫して14対44で敗れている。点差だけではなく、見ていて強さを感じたものだった。
まず前半。イーグルスが攻め込まれている感じはなく、互角、あるいは若干イーグルスが優勢か。ボールを持った選手が、確実に前進してくるワイルドナイツだが、それをイーグルスが確実に止めている。かといって、そこに人を集中させているわけではないので、隙を突かれることもない。
それでも、17分にトライを奪われ、22分にはPGで0対8。しかし、24分に三友のPGで5点差に詰めたところから反撃開始。31分と36分にトライを挙げ、共に三友がゴールを成功させて17対8で前半を終えた。
トライは2つともティム=ベネットによるものだが、そこにつなげたのはトエアバ。ボールを持ったら、自分で突進するか、パスするか、キックするか、多彩な展開を見せてくれる。しかも、動きが素早く、見ていると思わず身を乗り出してしまう。特に、2本目のトライはゴール内に蹴ったキックに対し、ベネットがぎりぎりのところで追い付いて押さえたもので、見事な連携だった。

後半もワイルドナイツの攻撃を許さない。特に、先期の試合で縦横無尽に走り回られた山田章仁に対しても、きちんと動きを封じて見せ場を作らせない。8分のPGで差を詰められるが、12分・22分のPGで、逆に23対11と点差を広げる。
この間、交替で出場した原田は、164cmの慎重で細かく鋭い動きを見せる。身長差32cm・体重差42kgのアダム=トムソンと並ぶと、まるで子供のようなんですが…。
もしかしたら、ワイルドナイツが勝ち点0…なんて思いが頭をよぎるが、さすがに甘くはなく、29分にトライ(ゴール成功)で5点差。1トライ・1ゴール、あるいはPG2本で逆転されるところで、残り10分となった。トエアバは後半26分に下がっており、これがどう影響するか。場内は、騒然としてきた。
36分のワイルドナイツの反則に対し、三友のPG。これが決まれば8点差。試合を決めるゴールになるか。前節と違い、今日は失敗のない三友。多少の風はあるが、三友の蹴ったボールはゴールに向かって一直線…だったのだが、ポールに当たってしまい、失敗。あと4分。5点差。
ワイルドナイツは逆転目指して攻めてくる。イーグルスは守る。どちらもミスをしない。40分のホーンが鳴る。それでもワイルドナイツは攻め続ける。ここでミスをしないのが、さすがは強豪ワイルドナイツ。粘る粘るイーグルス。まさに、手に汗握る展開。長い長い2分30秒。ついにボールを手にしたイーグルスが、横に蹴りだして試合終了。昨期3位のワイルドナイツを倒して、勝ち点4を手にした。

ということで、イーグルスは「上位に勝つ」という課題を、2期目にして達成した。ワイルドナイツの状態が悪かったようには見えないし、特に最後の最後での攻撃を見ても、イーグルスの見事な勝ちだった。
さあ、まずは1stステージのあと5試合。この調子を維持して2ndステージではグループAに進み、ワイルドナイツと再び戦おう。
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