風雪！ポカリスエットの戦い

2012年12月 9日（日）

徳島県は、特異な製造業のある県である。

日亜化学の青色ＬＥＤや、ジャストシステムの一太郎、徳島製粉の金ちゃんラーメン等が有名なところだが、何と言っても大塚製薬だろう。その発祥の地である鳴門市には、現在大塚製薬工場の本社があるが、その隣にある徳島県鳴門総合運動公園は、鳴門・大塚スポーツパークとなっている。中にある各競技場も体育館が「アミノバリューホール」、武道館が「ソイジョイ武道館」、陸上競技場が「ポカリスエットスタジアム」と、それぞれ大塚製薬の商品名の名前が付けられている。野球場は、もちろん「小さな巨人」にちなんで「オロナミンＣ球場」。残念ながら、オロナイン軟膏やサラリンの名前は使われていない。

そのポカリスエットスタジアムが、ラグビートップリーグ第10節キヤノンイーグルス対トヨタ自動車ヴェルブリッツの会場である。イーグルスとしては、公式戦四国初登場となる。

週間予報では10日の鳴門市は「雪」となっていたが、前日あたりには「曇り」に替わり、降水確率も30%程度に下がっていた。会場には、鳴門線撫養駅から徒歩で向かったが、途中から小雨。会場に入って、小学生のタグラグビー（第9回サントリーカップ全国小学生タグラグビー選手権大会徳島県予選）を観ている間は空が明るくなってきたようにも感じたが、それが終わって、イーグルスとヴェルブリッツの選手が練習を始める頃には、何と雪が降り出した。風も強まり、猛吹雪である。

今日の試合を含め、トップリーグは残り4試合。前日の試合でＮＥＣグリーンロケッツが勝ったために、イーグルスは暫定的に11位に下がっている。

出場選手は、ここまで全試合で16番だった宍戸要介が1番で初先発。そして、3番には山路泰生がトップリーグ初のメンバー入り。山路は先期1試合も公式戦出場がなかったが、今期終盤に来て満を持しての出場となった。ナンバーエイトには竹山浩史。

スタンドオフは、前試合で怪我をしたらしく早々に交替した福居武に替わり、高城良太が宍戸と同じく初先発し、控えに昨季活躍した吉田健が今期初のメンバー入り。スタンドオフにはカラム=ブルースが戻り、橋野皓介は再びフルバックへ。福居と同じく前試合の前半で交代したアイザイア=トエアバに替わり、ティム=ベネットが10月 6日以来の出場となった。。

あれだけ降っていた雪だが、試合開始までにはすっかり止み、何と晴れ間も見えだした。ただ、風はまだまだ強い。イーグルスは、風下に陣取って前半のキックオフ。

やはり風の影響は大きく、ヴェルブリッツのキックは距離が出るのに対し、イーグルスは低くしか蹴ることができない。ただ、ヴェルブリッツは横に投げたつもりであろう球がスローフォワードになったり、ラインアウトが流されてノットストレートになったりする。それでもヴェルブリッツ攻勢で、イーグルスも必死で防ぐが、前半5分にトライをされる（0対5）。

しかし、その後は逆に相手ゴール前に迫り、ヴェルブリッツに前進を阻まれるがじりじりと攻め続け、竹山が飛び込んでトライ！三友もゴールを決めて7対5と逆転した。しかし、すかさずトライを返されて7対12と再逆転されるも、相手陣内でのラインアウトでボールを取った竹山が一気に走りこみ、ライン際を追っていたフッカー山本貢に渡して、山本がトップリーグ通算27個めとなるトライ！12対12と追い付いた。

ところが、直後に相手にパスをしてしまったように見えるプレーがあり、ヴェルブリッツが独走して12対19となり前半終了。後半開始直後にヴェルブリッツ独走でトライ（12対26）。さらに、再びイーグルスが相手にパスするような形になり、またも独走でトライを許して12対31となってしまった。

しかし、イーグルスも相手の勢いを止めて反撃。後半23分に、パスがつながって三友良平がトライ・ゴールで19対31。33分に橋野の独走から大居弘樹がトライで26対31の5点差で、残り6分。4トライの勝ち点1を確保し、あと1トライ1ゴールで逆転、このままでも7点差以内の勝ち点が得られる状態となった。しかし、ヴェルブリッツに攻め込まれたところで反則を犯してしまい、ペナルティゴールを決められ26対34の8点差。何とか再び反撃を、と選手も観客席も力が入るが、残念ながら惜しくもノーサイドとなった。

敗れはしたものの、悪天候の中でもスピード感のある攻撃を見せ、4つのトライはそれぞれに違ったパターンで、見応えのあるものだった。残る3試合はすべて上位相手で、しかも12月の2試合を連勝している相手ばかりであるが、ぜひ一泡吹かせてもらいたいものである。