松中のヘッドスライディングに、ホークスの敗退を見た
今から言っても結果論であるが、パシフィックリーグのクライマックスシリーズファイナルステージで福岡ソフトバンクホークスが敗れた原因は、第1戦での松中信彦のヘッドスライディングにあるように思えてならない。
改めて書くまでもないが、今年のパシフィックリーグはホークスが優勝、2位の埼玉西武ライオンズと3位の千葉ロッテマリーンズがクライマックスシリーズファーストステージを戦い、2連勝のマリーンズがファイナルステージに進出した。
1~3位が戦うプレーオフがパシフィックリーグで始まったのは2004年。以後7回のうち、2008年を除く6回に出場しながら、1度も優勝をしたことがないホークス。そして、いつもその原因は松中の打撃不振にあるように言われてきた。
しかし、今年は過去2回の1位での進出ではなかった1勝の「アドバンテージ」があり、これまでよりもずっと有利な状況だった。さらに、戦力的にも先発投手に杉内俊哉・和田毅の2枚看板を有し、中継ぎ・抑えの投手もマリーンズに比べるとかなりの安定感があった。おそらく、シリーズ前に「勢い」以外の理由でマリーンズ優位を予想した人は少なかっただろう。しかも、過去2回の1位進出の時の制度とは異なり、既に「リーグ優勝」は手中にしていたため、精神的にも余裕を持てたのではないかと思われる。
だが初戦。マリーンズ先発の成瀬善久に、わずか4安打1点に抑えられた。特に5回に1点を返して1対3とした以降は1人の走者も出せない状態が続き、8回裏にショートゴロを打った松中が一塁にヘッドスライディングを見せた(スポーツ報知記事)。この時、テレビで中継を見ていた私は、思わず「早すぎるよぉ」と声を出してしまった。
チームの状態がよくない時、主力打者が内野ゴロで全力疾走をして一塁へヘッドスライディングを見せることにより、他の選手を鼓舞するという場面がある。松中自身も9月19日のライオンズ戦の7回裏にやって見せ、これが安打になったのをきっかけにこの回5点とライオンズを突き放して勝利。翌日も勝ってライオンズに0.5差に迫って逆転優勝につながった、という実績がある。
しかし、ファイナルステージはまだ初戦。1勝のアドバンテージがあるので、負けてもタイになるだけだった。これが最終戦、あるいはその前ぐらいならまだしも、ここでやってしまうことにより、他の選手は
「松中さんはそんなに勝ちたいんだ」
「ホークスはずっと日本シリーズに出てないんだ」
「松中さんは責任を感じてるんだ」
「松中さんの気持ちに我々もこたえなければ」
と、松中の悲壮さが伝搬してしまい、これが硬さにつながったのではなかろうか。結果的に、6戦を通じて1試合平均5本の安打しか打てず、本塁打に至っては1本も打てなかった。そして、圧倒的に自信があったはずの中継ぎ陣も後半には崩れだしてしまい、逆にシーズン中よりはかなり良くなったマリーンズの中継ぎ投手の活躍もあり、マリーンズが「史上初の3位からの日本シリーズ進出」を成し遂げることになったのだ。
もしこの時、松中がヘッドスライディングをせず、
「今日は負けたけど、成瀬がよすぎたよね。別にタイになっただけだし、明日から5戦で3つ勝てばいいよ。」
のような気楽な雰囲気を出していたら…結果はどうなっていただろうか。
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